クレーム問題について(第2回)
ー具体的対応方法等ー

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1 はじめに

今回は、クレームに対する具体的対応方法等について述べさせていただきます。

2 クレーム対応

(1)初期対応での心得

正当なクレームでも、初期対応を誤ると、顧客の怒りをどんどん増幅させてしまい、「困らせてやらないと気が済まない」と不当クレーマー化してしまうことがあります。

したがって、クレーム対応においては、初期対応が極めて重要なわけですが、クレームをしてくる顧客は、大なり小なり負の感情を抱いているわけですから、クレーム対応でまずすべきことは、共感を示しつつお詫びすること、だと考えます。

この点、一昔前のクレーム対策の指南では、クレーム受付時の注意として、「詫びるな。」という指導が主流だったようです。

しかし、このような硬直的なクレーム対応は正しくないと考えております。例えば、自分が正当なクレームをした場面を想定してみれば、腑に落ちやすいと思います。すなわち、自分が正当なクレームをしているにもかかわらず、企業からお詫びの言葉が一切なかった場合、無愛想、他人事、無責任、不誠実な対応と感じて、こちらの負の感情はますますエスカレートし、場合によってはその企業の顧客でいることをやめるのではないでしょうか。

もちろん、事実関係が不明な段階で、先方の主張する事実関係を認めるかのようなお詫びをすることは厳禁です。

あくまでも、お詫びの対象は、事実関係ではなく、顧客に不快な感情を抱かせてしまったことなどの感情面です。顧客が感じた不快感や不満に対してお詫びをしたからといって、クレームに対する法的責任を負ってしまうことにはなりません。それとこれとは別の話です。ただし、重ねていいますとおり、事実関係が不明な段階で、先方の一方的な言い分を認めるかのようなお詫びの仕方はまずいです。

(2)事実確認

初期対応でお詫びをした後は、事実確認をしていく必要がありますが、事実確認でのポイントは、「クレーム内容の特定」と「クレーマーの特定」です。以下、順にご説明します。

ア クレーム内容の特定

(ア)クレーム内容を特定することができて初めて、当該クレームに対する的確な対応がとれますので、クレーム内容を詳細に聞き取ることは、クレーム対応の大前提です。

この点、正当なクレームの場合、顧客は自らの困りごとを解決するべく、事実確認に応じるのが通常です。裏を返せば、こちらの事実確認作業に応じようとしない場合は、不当クレームの可能性が高まるといえます。

(イ)事実確認は、クレームのあった早期の段階で、詳細に、聴取しておくことが肝要です。早期に先方の言い分を細かく固めておくことで、後々、後付けの口実をつけられることを防ぐことができるからです。

例えば、クレーマーが、「重要な取引があったのに、おたくの製品の欠陥のせいで怪我をして出席できず、取引の機会を失ってしまった。損害は1000万円を下らないから賠償しろ!」という、一見して不当と思われる要求をしてきた場合を例にしますと、怪我の程度、診断書等の有無、取引の相手方が何者か、取引における顧客の役割・位置づけ、取引の内容、製品をどのように使用したのか、その他できる限りの詳細を聴取し、早期の段階で先方の言い分を固めていく必要があります。

クレーム内容はある程度類型化できると思いますので、聴取事項リストを事前に作成しておくと、対応者もそれに沿って聴取していけば漏れがなくなるので便宜かと思います。

なお、事実確認に際しては、先方の言い分が不合理であったり、非常識であったり、矛盾していたとしても、その場でそのことを指摘して論破しようとはせず、事実確認に徹して、淡々と言い分を聴取していくべきと考えます。

その理由は、矛盾点の指摘は後になってもできる上、言わせるだけ言わせた方が多くの矛盾点を浮き彫りにできますし、また、その場で議論をすると、先方がヒートアップして事実確認が進まなくおそれもあるからです。

ただし、そういった不合理な点やおかしな点について、そのまま流してしまうのはではなく、疑問点を質問していき、深掘りしていくことは必要です。要は、不合理な点について、その場で論破をする必要はないけれども、疑問点はきちんと質問し、事実関係を明確にする必要があります。

(ウ)クレーム対応のプロの方によると、事実確認をする際は、「事実確認をさせてください。」とは言わず、「詳しくお話を聞かせてください。」という風に聞くそうです。

その理由は、「事実確認」と言うと、顧客の話をはなから疑っているようなニュアンスが生じ、無用に不快感を与えるおそれがあるからだそうです。

イ クレーマーの特定

最近では、いわゆる「幽霊」と呼ばれる、自分の正体を明らかにしなかったり、他人になりすますなど、企業に対する具体的な要求よりも、文句だけを言ってストレスを発散したり、暇つぶしのために電話をするクレーマーも増えているといいます。

このような幽霊に対しては、幽霊に足を生やすこと、すなわち人物特定を心掛けることが効果的とされています。

幽霊に足を生やすとは、フルネーム、住所、固定電話、昼間の連絡先などを聞き取っていき、クレーマーを特定するという意味です。

質問に応じず足を生やそうとしない幽霊は、クレーム内容の信ぴょう性も判断できず、きちんと対応すべき顧客とはいえないので、それ以上対応するのは時間の無駄と判断し、電話は短時間で切り、以後は無視して構わないといえます。

3 クレーマーと話す際の留意点

(1)クレーマーと交渉する担当者は、なんとかクレーマーに理解・納得してもらおうとして、色々と言い方を変えて説明し、説得に努めようとしがちです。

たしかに、相手が話の通じないタイプの場合、手を変え品を変え、色々と言い方を変えて説明することは、人間心理としては至極もっともなことです。

しかし、クレーム対応の際は、意識的に、説明の際の言い方を変えずに、同じフレーズの繰り返しで説明する必要があります。

その理由は、言い方や表現を変えて説明しますと、その微妙な差異をもって、「さっきの説明と矛盾している!」などと言いがかりをつけられ、余計な攻撃材料を与えてしまうおそれがあるからです。

(2)感情的なクレーマーと話していると、企業側の対応者もイライラしてきます。明らかに不当なクレーマーならば、尚のことかと思います。

しかし、迷惑なクレーマーだからけしからんとして、ぞんざいな口をきいたり、高圧的な口調で対応することは、クレーマーをヒートアップさせ、余計に煩わしいことになるだけですので厳禁です。なにより、企業の対応者は、いわば企業の顔として対応しているわけですから、一社会人としてあるまじき対応をすることは、担当者自身の品格を損なうだけにとどまらず、その企業そのものの品格を損なってしまうことを留意すべきです。

クレーム事件の端緒として有名な、「東芝クレーマー事件」でも、東芝側の対応者の口の利き方が極めて不適切であったところ、そのやりとりの録音がブログ上で公開されてしまったため、東芝は世間から強いバッシングを受けました。

現在は、録音機の精度も更によくなっておりますし、SNSで簡単に拡散してしまうので、より一層の注意が必要です。

企業の対応者は、相手が録音しているという前提で、感情に流されず、一社会人として品位のある対応をする必要があります。

4 クレーム対象製品を預かる場合の注意点

商品に欠陥があるという内容のクレームの場合、原因究明をしたり修理したりする前提として、顧客から当該商品を受け取り、検査することが必要となります。

そして、このとき、預り証を発行しているかと思います。

しかし、預かった製品を預かった当時の状態に戻せない場合には、預り証だけでは足りず、現物を返還しなくてもよい旨の承諾書の徴求も不可欠です。

といいますのも、承諾書を取り付けていないと、預けた顧客から、「私が預けた製品そのものを元通りにして返してくれ。」などと二次クレームをつけられるおそれがあるからです。

また、顧客から商品を預かる際は、その場で、商品の具合を顧客と一緒に確認しながら、写真やビデオ等で収録しておき、後々余計な紛争が生じないようにしておくことが肝要です。

次回は、ブラックリスト情報の共有について述べさせていただきます。

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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