会議の効率化や意思決定の在り方について

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第1 ビジネスコラム(会議の効率化等) 

(1)日本は無駄な会議が多いとよく言われます。無駄な会議の典型例といえば、だらだらと長時間続く会議ではないでしょうか。

このような会議を防ぐためには、その会議の目的(ゴール)を明確に設定することが重要とされています。

会議の目的は、大きく2つに分けられるといいます。一つは、議論を通じて多様な意見を集約することを目的とするもの、もう一つは意思決定を目的とするものです。

議題の内容に応じて、一度の会議で意見の集約から意思決定まで一気に両方やってしまうこともあれば、別の日に分けるべき場合もあります。

同じ話が延々と続き堂々巡りになってきた場合は、それ以上議論をしても意味がなく、もう意思決定すべきタイミングということかもしれません。会議がどちらのフエーズなのか(議論の時間なのか、意思決定の時間なのか)を参加者全員が認識しておけば、会議はスムーズに進むと思われます。

もっとも、議論の時間から意思決定の時間に移るタイミングを決める人がいなければ、いつまでも議論が続いてしまいます。ですので、リーダーがそのタイミングを判断する必要があります。そして、議論を踏まえて最後の意思決定をするのも、リーダーが1人で責任をもって行うべきとされています。共同決議や多数決ですと、責任の所在が不明確になってしまうからです。

ちなみに、組織の意思決定の方法は、会議などを通じて多様な意見を聞いた上でする方法もあれば、リーダーがトップダウンで意思決定する方法もあります。

どちらの方法が正しいというものではなく、場合に応じて両方の方法を適切に使いこなすことが肝要とされています。

計画を実行するときは、トップダウンが向いているといわれています。他方で、新たな戦略を考えたり、イノベーションを起こそうというときは、多様な視点が欠かせないため、トップダウンは不向きで、多様な意見を集約した上で意思決定する方が向いているとされています。

なお、多様な意見を求めるためには、最も影響力の強い人(一般的には上長)が自分の意見を表明するのは最後にすることがよいようです。その理由は、最も影響力の強い人が意見を表明してしまうと、その意見に忖度した意見しか出てこなくなるおそれがあるからです。

(2)リーダーの大きな仕事の一つは、意思決定すなわち決断をすることですが、決断の本質は、決断する瞬間には正解が分からない点にあります。正解が分からなくても決断しなければならないという難しい仕事がリーダーの仕事です。

決断は、正解がある問いを解く作業とは比べものにならないほど難しく、覚悟がいるものです。正解のない問題は、どれだけ調査や検討をしても、正解が見つかることはありません。ですので、決断をするに当たっては、唯一の正解があるわけではないと割り切って、答えは見つけるものではなく自分で作るものだと覚悟を決め、自分が決断した選択肢を自分の行動によって正解にするというマインドが重要なのだと思います。

ちなみに、一度決断した以上ぶれてはいけないという意見の方もいますが、私見では、ぶれてはいけないことは根っこの戦略レベルであって、戦術レベルでは一度した決断に縛られることなく、身軽に変更し、トライアンドエラーを繰り返す柔軟性が必要ではないかと考えています。

(3)会議では担当者が説明をする場面がありますが、分かりやすい説明には型があるとされています。

その型とは、①まず、何の件か伝える。②検討事項が何かを伝える。③私見(結論)を伝える。④私見の論拠を伝える、というものです。

例でいいますと、「騒音対策の件です。検討事項は、対策1と対策2のどちらを採用すべきかです。検討した結果、私見では、対策1を採用すべきと考えました。その理由は3点あります。~」というような流れになります。

このような説明の順番にすると、聞き手は話の内容を予測しながら聞けるため、脳の負担が少なく説明を聞くことができ、結果的に分かりやすい説明になるとされています。

他方、分かりにくい説明の典型例は、用件や結論をいわずにいきなり話をはじめ、最後になって用件や結論を伝えるものです。このような説明ですと、聞き手からすると、何についての話なのか分からないまま話を聞き続けることになり、脳の負担が大きいため、説明を理解することが困難になってしまいます。